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From the economic column I wrote in the past

中国という国について

2016年12月

世界経済の近未来について考えた場合、中国経済の急失速や、場合によって起きうる経済や社会の崩壊は、世界にとっても大きなリスク要因ではないかと思います。

中国の歴代王朝の歴史を振り返りますと、いずれも王朝の誕生後30年から130年程度に国力のピークを迎え、その後は徐々に衰退することがわかります。国力衰退の理由にもお決まりのパターンがあり、外征による軍事費の増大と財政の悪化、そして官僚システムの腐敗による民意の離反です。その結果民衆の蜂起が国内で起き、さらに万里の長城を超え侵入した異民族がその内乱に加わるケースもありました。

このような視点で現在の中国をみるとどうでしょう。今のところ民衆の不満はまだ臨界点に達していないようですが、それでもその兆候はいくつか見えます。まずは経済的格差の拡大です、10%以上の高成長時代には問題にならなかったでしょうが、同国は明らかに低成長時代に入りつつあります。低成長下の格差拡大は、圧倒的な多数を占める低所得層の不満のレベルを高めつつあるといってよいでしょう。軍事費の拡大も気になります、同国では近々空母3隻体制になるそうですが、艦隊の維持費は巨額で、財政の圧迫要因になるでしょう。近年いわれ続けてきた地方政府の債務拡大も、一向に解消に向かう気配はありません、別働隊である融資平台を使った不動産投資も再び活発になりつつあります。この勢いで地方政府の債務が拡大し続けた場合、どこかで臨界点を迎えるでしょう。その場合地方発のインフラ投資や不動産投資は停止し、不動産バブルは崩壊するでしょう。さらに国営企業に目を転じれば、ここ数年のお題目だった国営企業の改革はほとんど手つかずの状態です、キャッチアップ型の成長が限界を迎えるなか、過去に抱えた過剰な設備や人件費の急騰によって、今後の成長力への期待は急速にしぼむでしょう。

このように見てまいりますと、中国はいま経済的に大きな過渡期を迎えつつあることが分かります。同国は来年も6.5%程度の成長を目指すのでしょうが、その数字自体嘘くさく、すでに実態は5%台半ばではないでしょうか。さらに向こう数年を見渡した場合、その実態5%台ですら達成は容易ではなく、逆に5%を達成しようとすれば、経済や社会の歪みはますます拡大することになるでしょう。

つまり一言でいえばいま中国は経済成長をとるか、あるいは歪み解消をとるか・・二者択一を迫られているといえるのではないでしょうか。前者をとれば歪みはますます拡大し、社会にため込まれる矛盾エネルギーは近々臨界点に達するでしょう。逆に後者をとれば経済成長はさらに鈍化し、それが中国の国際的な地位低下を招き、内においては民衆の不満レベルは拡大するでしょう。その行き着く先は前者を選んだ場合と同じです。

結局どの道を選んでも、近い将来中国は大きな転換点を迎えざるを得ないと僕は思います。