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From the economic column I wrote in the past

資産運用と鈍感力

2023年5月31日

僕は随分と長くこの商売をやってきました、この事務所を作ったのが2004年ですので、今年で丸19年になります。この間いったい何人の相談に乗ってきたのか数えていませんが、軽いお付き合いの方も含めれば1000人を超えているかもしれません。

これだけ多くの人の相談に乗っていると、成功する人としない人の傾向が見えてきます。今回はそのあたりを少しだけお話ししましょう。

失敗する人の行動の傾向

まず失敗する人からです。

結論から申し上げれば、個々の金融商品の値動きに敏感に反応する人は、かえって良い結果が出にくいように思います。

資産運用の対象は一つだけではありません、不動産もあれば株もある、債券やコインなど実物資産もあって、それらをうまく組み合わせていかなくてはなりません。

それぞれの資産は個別の特性を持っています、株は上がりやすく下げやすい、簡単に売り買いができるがそれだけにすぐ売ってしまいたくなる・・・たとえばこんな特性です。

不動産にも特性があります、株と違って値動きが見えず、定期的に賃料がもらえるが、地震や津波があれば大きな被害を受ける・・・、もちろん債券、コインなどもそれぞれ個別の特性があります。

このような性格が異なった資産に分散しておくと、いろんなことが気になってくるものです。

たとえば持ち株の一つが値を下げると、それがストレスになり、ほかの株や投信、ETFなども心配になってくるものです、そして不安が極限に達すると「もう株なんてやりたくない」となってしまい、なかには全数処分に至ってしまう人もいます。

債券も同様です、債券は値動きが小さく比較的リスクの小さい資産ですが、逆に言えばそれだけ多くの分量を持たなければポートフォリオにおける意味合いは小さく、そのため多くの資産を債券に投入することになります。確かに債券は値動きが小さく安全性の高い資産ではありますが、たとえば昨今のようにアメリカのデフォルトが日々の話題になりますと、持ち高が大きいだけに不安感が高まりますし、我慢し切れなくなって売ってしまう人もなかにはいます。

不動産も同様です、「首都直下地震が向こう30年の間に起きる確率が70%」といわれて久しいですが、NHKなどで特番が放送されると、不動産の影の部分ばかりが気になって、手放してしまう人もいます。

あらゆる資産にはリスクがつきものです、株であれ、債券であれ、実物資産であれ、そして現金ですら固有のリスクをもっています。

最初に配分を決めた時点で、それらのリスクをしっかりと理解したはずなのに、起こるべくして起きたリスクを目の当たりにするともういけません、そのリスクが実像の何倍にも膨らんでしまい、いわば発作的に売却してしまう人が結構な割合でいるものです。

でも売却したからといって、不安から解放されるわけではありません。そのおカネは別のリスクにさらされることになります、たとえ現金に戻しとしても、こんどは日本の財政やインフレなど気になってくるものです。やってしまった資産の組み替えは、大局的にみれば右往左往しただけで、売買の手数料がかさんだ意味ない行動にすぎないのです。

成功する人の行動パターン

逆に資産運用に対して鷹揚に構え、個別の損失をさほど気に留めない人は成功しているように思います。

さきほど申しましたように株や債券、現物や現金など、すべての資産のグループは何らかの欠点をもっています、いろんな形をしたパーツを組み合させることによって、全体として安全性を維持し増やしてゆくのが資産運用だと僕は思います。

成功する人をみていると、この資産運用の根本的な原理をよく理解している人が多いような気がします。もしかしたら危機に対して鈍感なだけかもしれませんが、資産運用では、この「鈍感力」が重要な要素だと僕は思うのです。

ちゃんとした表現をすれば、「一つ一つの資産から一定の距離を置き、全体としてマネージすることに注力していると」いってもいいかもしれません。このような人はすくなくとも過敏体質な人よりよほど良い結果が出ているように思います。

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