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From the economic column I wrote in the past

2024年1月末時点の相場見通し

日本企業の、2023年10-12月四半期(第3四半期)の決算発表が始まりました。一年には4回の決算発表がありますが、第3四半期は一番重要かもしれません。

通常、日本企業の一年は4月に始まって3月に終わります。この第3四半期のあたりでは、すでに今期(今回でいえば2023年4月から2024年3月の一年か間)の業績はほぼ見えており、株価にもすでにそれが織り込まれています。

市場の注目はすでに来期(今回でいえば2024年4月から2025年3月の一年間)に移っており、各社はこのタイミングで来期の業績予想を発表いたします。

仮にA社が発表する来期業績予想が事前の市場想定を上回れば、A社株は買われますし、逆もあります。なので僕を含めこの時期は、投資家にとってドキドキの連続です。

決算発表は始まったばかりですが、僕が特に注目しているのは半導体関連企業です。

すでに今年の半導体関連企業の数字が悪いにはわかっており、ほとんど材料になりません。注目は上記のように来期(2025年3月期)の業績予想です。

予想の中には売上や利益といった客観的数字はもちろん、他にも足元の受注状況や、来期の受注見通しにも注意しなくてはなりません。なぜなら受注から売り上げの計上まで、数か月から場合によって半年以上の時差があり、受注の好不調が来期の売り上げや利益を左右するからです。一般的に日本の会社は保守的で、来期の業績予想も「低め」に発表することが多いです、でも受注はうそをつきません、各社が発表する受注額によって、会社が発表する業績予想がどの程度保守的なのか、あるいは積極的すぎるのか、そのあたりがみえてくるのです。このような数字だけではありません、各社の経営者が決算発表の席上で、どのような発言をするのかも大切です、微妙な言い回しの中に投資のヒントが隠れていることもよくあります。

さてそのような観点で決算発表です。

半導体関連では昨日キャノンが前期(この会社は12月決算なので2023年12月期です)の業績を発表しました、同時に発表された今期の純利益の予想は、対前年比15%増の3050億円でした。もしこれが達成できれば2008年12月期以来の高水準だそうです、まずは「幸先よし」ですが、僕が注目したのは半導体関連の売り上げ予想です、あまり知られていませんが同社は半導体むけ露光装置の大手です、同社幹部によると、今期は「半導体露光装置と医療機器を中心に(今期の売上は)伸びてゆく」とのことです。なおキャノンの株価は本日(1/31)随分上がっています。他社も同様の見通しを発表するかどうか、そのあたりが今四半期決算の焦点になります。

注)日本経済新聞1/31記事より「浅井稔、専務執行役員の発言」

まだ四半期決算は発表が始まったばかりですが、幸先は上記のようにいい感じです。でも一つ注意すべき点もあります。

半導体関連株の株価はすでに昨年1月に底を打ち、そこから次の半導体サイクルを先取りする形でずいぶんと上げてきました、つまり来期業績の回復は相当程度織り込まれているということです、株価がさらに上昇するためには、市場の予想を超える数字が出てこなくてはなりません。この点に関して僕は強気です。

半導体から離れて全体をみますと、どうやら今期(2024年3月期)の数字は悪くないようです。ただしこの「好決算」の大半はすでに今の株価に織り込まれていることを忘れてはいけません。例えば日経平均採用の225銘柄をみますと、今期(2024年3月期)予想ベースでPER16倍弱まで買われていますが、このPER16倍は、高くもなく、低くもなく、すでにちょうどいい湯加減の塩梅まできています。

言い換えると、大切なのは今期の数字ではなく同時に発表される(ことが多い)来期(2025年3月期)の業績予想のほうです。主な証券会社は来期の業績を10%ほどの増益と予想しているようですが、まあ妥当なところでしょう。

もし来期の業績予想が10%なら、予想PERが16倍のままでも日経平均は39,600円(注)です。

注)36,000円×1.1=39,600円

日経平均の過去最高値は38,957円ですから、今年中にも最高値更新となって不思議はありません、その意味でも今回の四半期決算は、すごく意味のあるイベントです。

ただし投資という視点でいうならば、日経平均の最高値更新はさほど意味はありません、なぜなら私たちにとって「日経平均の最高値更新」は象徴的な出来事にすぎないからで、問題は「今年なんぼ儲かるか」です。

インデッククス派の方はそのまま維持、少なくとも来期予想を市場が織り込み終わるまで維持でいいと思います、今年10%増益ならPER16倍のままでも10%の儲けです。

新NISAで積立投資される方は、言うまでもなくそのまま維持してください、本レポート冒頭にように長期で持てば株は儲かります。日本株でもいいですし、世界株インデックスもいいでしょう、本レポート冒頭のように大切なのは分散です。

半導体の個別銘柄をお持ちの方は、来期の業績予想に大注目です。でも万一今回の決算が不発に終わっても落ち込まないでください。半導体関連といっても川上から川下までありますし、半導体と一口に言ってもメモリ、AI半導体、電源制御に使うパワー半導体、スマホの目玉(CCDと呼ばれるアナログ半導体)など多種多様です、お持ちの株がどの位置にいるかによって、業績立ち上がりのタイミングは異なります。いずれにしても今年秋口あたりまでは維持する方向でおすすめください。

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