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Looking for valuable coins

コイン投資は定着するか

2021年7月8日

僕がまだ小さかったころ、
実物資産の中でも金や不動産は、
すでに一般的な投資の対象だった記憶があります。

でも例えば同じ実物資産でも宝石や美術品、
ましてやコインやウィスキー、腕時計などは、
投資という概念からかけ離れた、一部の好事家による
趣味の対象だったように思います。

もちろん僕がまだ子供で無知だったせいもありますが、
やはり当時このような実物資産が投資対象になる環境は、
まだ整っていなかったのではないでしょうか。

ここ数年このような状況に変化が生まれ、
コインやワイン、ウィスキーや腕時計などが、
マスコミで投資の対象としてとりあげられる機会が徐々に
増えてきたように思います。

以前は趣味の対象と考えられてきたこれらの資産が、
投資対象になりうるとの理解が徐々に進んできたといえるでしょう。

ではなぜこのような変化が生まれたのでしょう、
今回はこの点について少し考えてみたいと思います。

まず外部環境の変化からです。

2008年に起きたリーマン・ショックと今回のコロナ・ショック、
震源地も違えば要因も違いますが共通しているのは当局の対応で、
2回とも先進国中心に大量の紙幣が印刷され、
世界的なマネーの過剰状態を招きました。

もはや紙幣の大量印刷は、
危機対応の定番になってしまったかのようで、
この状況は必然的に紙幣の対極にある実物資産への注目を高めました。

つまり紙幣の価値の希薄化によって、
今まで趣味の対象だった実物資産を、
私たちは投資の対象として意識し始めたといえるでしょう。

これが実物資産が注目される外部要因だとすれば
実物資産の内側で起きた変化もあります。

ある資産を多くの人が投資対象として売ったり買ったりするためには、
以下の条件が必要だと僕は思います。

  1. その資産の価値を多くの参加者が容易に判断できること
  2. 資産を売買できる交換所があり、なおかつ一定の取引量があること

コインを例にとって具体的に考えてみましょう。

まず1についてです。

以前は一枚一枚実際に目で見てコインの状態を判断せざるをえませんでしたが、
今では多くのコインがすでに鑑定会社のケースに入っています。

真贋はもちろんコインの状態を含めすでに鑑定済みですので、
特に専門的な知識がなくても、コインの価値をある程度判断できるように
なりました。

次に2についてです

以前はコインの売買は個人間や個人とコイン商の間というように、
一対一で行われるのが常でしたが、今ではオークションが大きな
役割を担うようになってきました。

オークションは世界中で毎週のように開かれており、
買い手も売り手も容易に売買ができるようになったのです。

もちろん株や債券のようにリアルタイムというわけにはゆきませんが、
それでも以前と比べると格段に短い時間で売買が完了するように
なりました。

もちろん1にしても2にしても完全ではなく、
今でもさまざまな問題はあります。

たとえば鑑定会社の評価です。

鑑定会社は一般に1から70までの数字でコインの状態を評価いたしますが、
あくまでその数字は鑑定会社の主観に基づいて行われたものですし、
鑑定人によってバラつきも生じます。

流動性についても問題がないわけではありません。

週に一度オークションがあるといっても、
一度に出品されるコインの点数は数千枚ほど、
金額にしてせいぜい数億円どまりです。

一方で株や債券は世界中で24時間売買できますし、
売買高という点では比較の対象にすらなりません。

このようにまだまだ発展途上にあるものの、
少なくともこの20年という時間軸で見れば、
上記1,2の点でコインの金融商品化が進んできたと
いっていでしょう。

これはコインだけのお話しではありません。

僕は先に挙げた実物資産のなかでもコインは最も金融資産化が
進んでいると思いますが、腕時計やウィスキー、ワインなどを対象に
したオークションも近年増えてきたように思います。

グレーディングという点でもコインに比べ出遅れていますが、
ウィスキーや腕時計も、そのうち鑑定会社による鑑定/格付けが
一般的になるに違いありません。

すでにトレーディング・カードやディズニーのヴィンテージ原画、
時代性のあるアニメ本などは、アメリカの大手鑑定会社CGC社による
鑑定が一般化しつつあります。

近い将来コインに続き、腕時計やウィスキー、ワインなど他の実物資産も、
金融商品化が進むのではないでしょうか。

AIやITの進化によって鑑定技術は向上するでしょうし、
ネットの大容量化によって売買もさらに容易になると僕は思います。

外部環境を観ても、
危機のたびに紙幣が大量に印刷される構図に変化があるとは
僕には思えません。

このようなことから実物資産投資は「オルタナティブ投資(代替投資」)として、
定着すると思いますし、市場規模もさらに拡大するのではないでしょうか。