スマートフォン版に切り替える

From the economic column I wrote in the past

あの頃を思い出して

2022年8月31日

僕はいまでもときどきリーマン・ショックの頃を思い出します。

振り返ればあの頃は大変な時期でした、当時の僕にとって、世界の金融システムが崩れ去ってしまうんじゃないかというほどの怖い体験でした。

いまだから正直に言いますが、僕はこんな仕事をしながらも、心の中では「今まで自分が信頼しきっていたさまざまな資産・・、たとえば銀行預金、現金、株、債券、REIT、ヘッジファンドなど、あらゆる資産が金融システムといっしょに紙切れに戻ってしまうんじゃないか」という恐怖にとらわれていたのです。

唯一の救いは現物でした、当時すでに僕はお客さんに金や不動産など現物資産の保有をお勧めしていましたし、自分自身もかなりの比率で現物を持っていました。コインはまだお客さんにアドバイスできるほどの知識の蓄積がなく、個人的な投資にとどめていましたが、それでもすでに一部の懇意なお客さんにはお勧めしていたように思います。結果的にはこれが奏功しました、株が半分になり、多くのヘッジファンドが解散に追い込まれ、一時は債券すら紙切れになるかもしれないという危機のなか、不動産や貴金属、コインなど現物資産はその価値を維持しましたし、その後も順調に値を上げ続けました。

多くの資産運用アドバイザーがリーマン・ショックを境に消えてゆくなかで、僕の事務所が生き残り、また個人としても資産を維持できたのは、実物資産への分散を実行してきたからだと思います。いくら長期投資を志向していても、保有資産が半分になってしまえばその時点でもうギブアップしていたのではないでしょうか、場合によっては投資の世界から身を引いていたかもしれません。

翻って昨今です。

先週パウエルさんがジャクソンホールで講演し、「景気を犠牲にしても利上げを続ける」的な話しをしました、市場は楽観に傾いていましたので中央銀行の総裁としては当然の発言だったと思います、これに対し市場は利上げの長期化を意識し株は大きく下げました。

金利の上昇にウクライナ情勢や台湾情勢、世界的なインフレや中国の景気低迷懸念など、たしかにいまの世界は不確実性に満ちていますが、あのリーマン・ショックに比べるとどうでしょう。どう考えても「あの頃」とは比べようもありません、あのリーマン・ショックですら実物資産への分散で乗り切りきったのですから、この程度の市場の振動など、どれほどのことでもありません。

こんな時だからこそ粛々と資産を分散しておくこと、そして視野を広くとり株への投資を続けることが大切ではないかと僕は思います。

単なる入札代行ではなく、このサイトの主催者である田中がコンサルさせて頂きます、
コイン初心者の方でも安心してご利用いただけます。